奈良 猿沢池 采女神社 ~采女まつり~

9月26日(水)

『熊野詣』とは平安時代、上皇(法皇)を始めとする皇族や貴族の度重なる熊野御幸が始まりとされていて、京の都など各地から熊野三山を目指し参詣したものです。

「中秋の名月」の25日、奈良市の猿沢池では恒例の「采女まつり」があり、二隻の管弦舟が月夜の水面を優雅に進みました。

采女まつりとは春日大社の末社、采女神社の例祭で、奈良朝の帝の心変わりを嘆き入水した采女を慰めるお祭りです。

采女神社は、この采女の慰霊のため猿沢池の北西に鎮座していますが、采女が身を投じた池を見るにしのびないと、一夜のうちに社殿が後ろ向きになったといわれています。

行列は、午後5時にJR奈良駅を出発し、秋の七草で飾った長さ2メートル余りの花扇と数十人の稚児、花扇使を乗せた御所車、時代衣装をまとったミスうねめ・ミス奈良が、JR奈良駅前から三条通りなど市外練り歩き、猿沢池へと向かいます。 池のほとりに立つ采女神社で花扇を神前に飾り神事が行われ、名月が猿沢池に浮かぶ頃(午後7時頃)、花扇や、花扇使・ミスうねめ・ミス奈良を乗せた2隻の管絃船(龍頭(りゅうとう)・鷁首(げきす))が、雅楽の音色が響く中、池に浮かぶ灯籠(とうろう)に沿って2周します。池の周りのちょうちんが水面に映り、船上のたいまつも怪しげにゆれ幽玄なムードが醸し出される中、最後に花扇が池中に投げいれて采女の霊をなぐさめます。

昼には結構雨も降っていましたが、夜にはすっかり晴れ渡り、観光客らは空気も澄んで美しく見える名月のもと、古都ならではのみやびやかな風情を堪能されたことでしょう。

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