伏見稲荷大社成年祭

平成26年1月13日(月)

人生の通過儀礼は、時代を超えて重要視されている大事な行事です。とりわけ、今も昔も人生の節目の重要な儀式として受け継がれているのが成人の儀式でしょう。現在は毎年1月の第二月曜日を「成人の日」に設定し、各自治体で成人式が行われています。

かつての成人の儀式は、男子は「元服」、女子は「裳着」と呼ばれていました。

「元服」は、男子が成人したしるしとして初めて冠をかぶる儀式です。「元」は首、「服」は服を着る、かぶるという意味に相当します。それまで童子は冠をつけず、成人して初めて冠をつけることになります。年齢に一定の規定はありませんが、大体11歳~20歳の間に行われます。日時は現在のように一定ではなく、吉日を選んで行われました。儀式の詳細は身分によって異なり、天皇元服の場合などは前年から準備を始めます。平安時代の元服の儀式で重要な役目を果たすのが「加冠」と「理髪」です(天皇元服の場合はさらに「能冠」という役が加わります)。特に「加冠」の役は徳望のある人物を選ぶのが常識でした。儀式ではその名の通り「理髪」が童子の髪型を改め、その後「加冠」が冠をかぶせます。武家社会の場合は、「烏帽子親」がこの「加冠」に相当します。

また、女子の場合は「裳着」を行いました。これは成人した女子が初めて裳をつける儀式です。中国風に「初笄(はつこうがい)」ともいいました。この儀式で最も重要な役目が「腰結」で、こちらも元服の「加冠」と同様、人望のある人物が依頼されました。女子の裳着は結婚を前提に行われることが多く、裳着と結婚が同時という例もありました。

伏見稲荷大社の成年祭では毎年、平安時代・鎌倉時代・江戸時代の元服と、平安時代の裳着を再現する儀式、成年祭が行われています。髪型を変え、冠(烏帽子)をかぶり、衣裳を童子から大人のものへ改める様子を見ることで、かつての成人式の有様を垣間見ることができます。

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■京都府京都市 伏見稲荷大社 『 成年祭 』
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