お祭り大好き！

姫街道とは、浜名湖の北側、本坂峠を経由して東海道見附宿（現・静岡県磐田市見付町）と御油宿（愛知県豊川市御油町）を結ぶ街道で、その道程は約60㎞にも及びます。古くは東海道の本道でしたが、中世以降に浜名湖南岸の往来が盛んになると、長距離を移動する利用者が減り、地震などで浜名湖南岸が通行不能になった際に迂回路として利用されました。戦国時代に街道が整備され、江戸時代には東海道に付属する街道として宿場が置かれました。幕末頃になると「姫街道」という呼称が定着し、現在に至るまでその名が伝えられています。
「姫街道」の名は、江戸時代後期に伊勢へ参る「お蔭参り」の機会が増え、女性が比較的監視の緩い脇道を通り抜けることが増えた頃からいわれるようになりました。公家や武家の姫君がこの道を通ることが多いことや、女性の利用が多いことから「姫街道」といわれるようになったとされています。

新型コロナウイルスの影響で令和2年４月に開催予定だったお祭りは中止となった浜松市北区細江町の春の伝統行事「浜松市姫様道中」が令和3年3月２７日、動画配信による初のオンライン方式で開催されました。
道中行列は短いコースに変更など、規模は縮小して無観客のオンライン配信形式となりましたが、それでも一行は例年のように華やかな行列を披露し、約２年ぶりに伝統の祭典が細江のまちを彩ることができました。
午後から配信された道中行列はドローンの空撮も交えながら実施され、姫様や腰元の一行が桜並木や気賀関所を通り抜け、広場で民謡「細江小唄」などに合わせて手踊りを披露する様子が画面に映し出されました。
また、初の試みとなる道中行列衣裳のファッションショーもライブ配信され、着物の着付けの手順を紹介するなど、いままでにない工夫で画面越しでもお祭りの楽しさが伝わるような形で開催できました。

井筒企画では『コロナ禍の今こそできること』を合言葉に「お祭りで元気になりたい」「地域を盛り上げたい」と思っているみなさんと一緒にさまざまな工夫をしながらお祭りの開催に向けて対策を検討し、安全な開催に向けてお手伝いした内容をご紹介します。

【コロナ対策として計画・実行した内容】

• 関係者全員のPCR検査の実行
• 手もち道具の除菌
  井筒で用意する段階では勿論、本番の前日の準備段階でも改めて消毒液による除菌を行いました。

  

• 消毒液配置のお願い
  参加者用の消毒液を用意していただき、着付場所の入口やトイレなど各所に配置して参加者の除菌を徹底しました。

  

• 着付けの為の集合時間の時差を設ける
  通常、着付の際には参加者・着付人・保護者と多くの人間が着付場所の中で密集します。三密を回避するため、役柄ごとに班に分けて、集合時間をずらして着付を行いました。

  

• 化粧後のフェイスガードの徹底
  化粧後、美しい状態で撮影にのぞむまでの時間、マスクの着用ではメイクが崩れる、そんな心配を専用のフェイスガードを使用して頂く事で解消しました。時代行列にはつきものの笠やカツラを装着後も着用できるタイプを準備し、扮装した出演者が収録時以外はフェイスガードの装着を徹底できるよう対策しました。
  

  通常の着用方法	首掛け式にした着用方法

• 行列の間隔を通常より広く取る
  従来は密集した状態で歩いていた姫様道中を、一人一人の間隔を前後左右に広くとって行います。
  間隔を広くとった方が、長い行列となり、見栄えもする隊列となりました。

「姫様道中」をライブ配信で開催するにあたり打ち合わせを何度も重ね、主催者様側、井筒側の業務分担を明確にする所から始まりました。

井筒

衣裳の管理、着付け、お化粧、カツラ、台本作成（ファッションショー・紹介式）、動画撮影に関するすべて（カメラ台数、配置他）、撮影時の導線の補助

主催者様

参加者受付・誘導、司会進行役の手配、行列撮影ルートの確保、手踊り・奴振りの所作指導、記念撮影に関わる進行、紹介式の進行補助

～ライブ配信収録の流れ～

前日

ライブ配信のファッションショー用舞台大道具の設営
音響・照明・配信環境の確認
司会進行打合せ
大名行列扮装衣裳・小道具・カツラの段取り

浜松市北区細江町の半世紀以上続く春の伝統行事である「姫様道中」。
2020年の春は新型コロナウィルス感染拡大防止のために中止され、コロナ禍の2年目を迎えた2021年春はwithコロナの形で何とかして開催したい、そんな姫様道中実行委員会の皆様の熱意がすべてを動かした、新たなお祭りの形を模索しながらの挑戦でした。

地域の絆が深まる場所、心が共鳴する場所である「おまつり」のもたらすリアル(現実)な場所が、コロナ禍で叶わぬなか、初のオンライン方式でのおまつりのライブ配信は、withコロナの時代に生かされている私たちが文明の利器を使ってどうやって人と繋がることができるか、その試みは現実で繋がることのできる人間関係が可能となる平穏な日々の中でおまつりを開催したい、という渇望で実現したことでした。
オンライン開催という新たな形で得たおまつりの魅力を発信する方法は、おまつりが開催できた時のさらなる充実に繋がります。

半世紀を超えて受け継いできた細江の町の誇りである姫様道中を未来へ受け継いでゆきたい、そんな地域の大切な想いが2021年春の配信を御覧いただきました皆さまとの絆と信じ、第69回に大切に受け継いでゆかれることが井筒企画の願いです。